魚偽装のアブラボウズとは？

　深海魚のアブラボウズを高級魚のクエ（九州でアラ）と偽って販売する事例が相次いだことが事件になり、魚類図鑑以外では滅多に見る事のない珍しい魚の名前が一般紙に載っている。そもそもアブラボウズとはカサゴ目ギンダラ科の深海魚。
何紙かの記事にある「多くの脂肪を含んでおり大量に食べると下痢をすることもある」という記述は、クロタチカマス科のアブラソコムツの事ではないか？
　駿河湾あたりの深海ジギングで近場で楽しめる大型魚として人気のあったクロタチカマス科のアブラソコムツとは別の魚だが、名前が良く似ているので混同しているケースも散見される。このアブラソコムツ、人間には消化できないワックス系の油を多く含み食用は不可であることから市場に出回る事はない。「釣った魚は食べよう」と、食べて見た釣り人のブログによると「なかなか美味」とのこと。

魚の判別は学問になるほど難しい。ましてや、滅多に針にかからないうえ、市場に出回らないマイナーな魚は、釣り人でも困難だ。釣りサンデーからも、外観からの判別を主とした釣魚判別図鑑が出版されているが、この「魚類種族の生化学的判別」と言う本はアカデミックな香りがする。

水産学シリーズ(9)　魚類種族の生化学的判別