カルチェ・ラタンってどこ?

パリの地下鉄

朝10時ホテル至近の「サントゥスタッシュ教会(St.-Eustache)」を見ながら「モントルグイユ通りのマルシェ(Marche Montorgueil)」を目指す。
しかし、朝10時頃では開いているお店が少ないのか、微妙に場所が違うのか、とにかくこれはハズレ!
2ブロックほど東にあるメトロ4号線の「エティエンヌ・マルセル駅(Étienne Marcel)」から地下鉄に乗って「サン=ジェルマン=デ=プレ駅 (Saint-Germain-des-Prés)」へ移動。6世紀フランク王国の時代に創建され11世紀初頭の鐘楼が残る「サン=ジェルマン=デ=プレ教会 (Église Saint-Germain-des-Prés)(St.Germain des Pres)」の内部を軽く見学した後、サンジェルマン大通を挟んですぐ南にあるエーグル(AIGLE)に行く。

フィッシング関連など日本にはないアイテムを期待したが、子供のコートが150ユーローの定価販売でバーゲン品無しのうえ日本と同じタウン・カジュアルばかりだった。
エーグルの南東1ブロックにある「マルシェ・サンジェルマン(Marche Saint-Germain)」と言う名前の小奇麗な多店舗型マーケットに向かう。ビルの1階には魚、野菜、果物屋さんなどが一通り揃っている程度。近隣の主婦の買物用に便利というところか?

テナントの一つ、座れるテーブルもある生ジュース屋さんで飲んだ生姜入りの果物ジュースは美味しかった。店内のトイレは自動販売機型の有料トイレ・・・。
どの辺りを「カルチェ・ラタン(Quartier latin)」とするのか判らないまま専門分野毎に分かれた本屋が点在する地区を抜けてクリュニー中世美術館(Musee National du Moyen Age, Thermes & Hotel de Cluny)の真南にあるソルボンヌ大学(1 Panthéon-Sorbonne)正面に出る。ソルボンヌ大学と言うものの、実際には「パリ大学(Université Paris)」が英国で言うところのユニバーシティで、その内この辺の学校は13もあるカレッジの幾つかに相当するのだろうか?
ちなみに「カルチェ・ラタン(Quartier latin)」は仏語、「ラテン・クォーター(Latin Quarter, Paris)」は英語なだけで、どちらも同じこの地区のことを指し、「ラテン語を話す(=教養のある)学生が集まる地区」という意味が語源。ブランド、カルチェの鞄や、籐製の雑貨とは関係ないです。
付近の学生に道を尋ねつつ、大学の巨大な建物を南東方向に進むと、ルイ15世(Louis XV de France,在位:1715年 - 1774年)が自らの病気回復を感謝してジャック・ジェルメン・スフロ(Jacques-Germain Soufflot)に設計させ、現在はフランスに貢献した偉人の霊廟になっているパンテオン(Panthéon de Paris)に出た。

パンテオンに添って南側から東進し常設マルシェ(Marche)が軒を連ねる「ムフタール通り(Rue Mouffetard)」の北端に出る。
この時点で12時を回ったので昼食のためムフタール通沿い(北部)のチーズ・フォンデュ専門のレストラン「L'Assiette Aux Fromages(ラシェット・オ・フロマージュと読みチーズの皿の意味か?)」に入る。ランチメニューは簡単でオーダーは軽く頼んだこともあり4人で50ユーロでお釣りをもらう程度のお勘定でした。テーブルも広くトイレは店専用が地階に男女別であり無難だった。
チーズ・フォンデュ専門のレストランL'Assiette Aux Fromages

この辺りから進化大行進のある国立博物館を目指すのは、上野駅にある科学博物館に行くのに、一つ手前の御徒町駅で降りアメ横の見物を兼ねて徒歩で博物館方向に歩く感じと似ている。狭い通りの両側にぎっしりと食品専門店が続き、「よくこんな狭い道を」と思うほど納品のバンが通る。魚屋さんの価格表示は「キロ幾ら」です。価格は、ムール貝の€6/kg、カキ類は€10〜25/kg、エビ蟹など甲殻類は€20〜30/kgと言ったところ。魚は、スズキ、マトウダイ、ヒメジ、ヒラメあたりがこの季節(12月)の定番らしくどの店にも並んでいた。
ムフタール通りマルシェの鮮魚店

この時期マルシェの肉屋さんには、新鮮さを誇示するように羽根つき尾頭付きの鳥獣がぶら下がっています。クリスマスシーズンでもあり、ぶら下がっている量は盛大で、視線を避ける程度では記憶に残らないようにすることは出来ません。子供の「肉屋さんの方が博物館らしい」との話しもあり、中国南部の市場に負けずグルメ王国フランスのマルシェも興味深い展示物(食材)が多いようです。
鳥もローストされていれば食欲をそそるが・・・

南東方向に緩やかな下り坂となるムフタール通りを進むとサン・メタール教会(Église Saint-Médard)辺りでマルシェが終わる。ここから真東方向に坂道を進むと「ラ・モスケ(LA MOSQUÉE)」と呼ばれるスペイン・ムーア様式のイスラム教寺院の建物が見る。この寺院も観光客を迎え入れる状態にあるが、お金を払って食事やお茶をするとか蒸気風呂(ハマム)に入らなければ居場所は少ない。奥にあるイスラム・グッズの御土産店も狭いので見学時間は短い。

写真右奥の門扉が国立自然史博物館の入口(敷地は広大なのでこの場所の入口を目指す)

フランスの国立自然史博物館(MNHN:le Muséum national d'histoire naturelle)の周辺は植物、鉱物、昆虫などの専門館が広大な「植物大公園(パリ植物園 le Jardin des Plantes de Paris)」の敷地に点在する作りとなっているようだ。観光ガイドでは1994年に新築された一つの建物を指したり、植物大公園の一部としたり、記述のバラつきが多いので専門的な分野を見学する人は注意が必要と思われる。この場所は、国立自然史博物館の中でも「進化大陳列館(Grande Galerie de l'évolution)」の建物に最も近い入口。季節の良い時期であればセーヌ川に近い植物園側の入口から入り中を散策するもの楽しいだろう。

国立自然史博物館の建物入口前の地図

進化大陳列館は、子供も有料で6ユーロ、老人も大人と同じで8ユーロ。トイレは無料でチップも無し。ミュージアムショップはあるが、絵本とか動物モチーフの抽象的なデザインの作家物(高い)が中心。魚を始め博物館ならではのリアルな御土産物は少ない(無い?)。

博物館の切符は片面バーコード仕様で、磁気テープではないのでメトロ風(バスやRER)のチケット差込口も無く、スイカやイコカの様に両面対応のRFID仕様ではないので、ゲートにかざす時にはスーパーのレジの要領で表裏に注意する必要があった(経験談・・)。

最上階から俯瞰した地上階とその上の階が見える写真

建物は地上階を含む4層階、地上階は魚類と鯨類、透明エレベータで一つ垂直移動した2階が哺乳類の剥製が行列している展示。3〜4層階にかけて中央吹抜けで壁側の回廊部分に小展示が連続する。
事前に日本語の解説本やブログも見つけられなかったので展示物の子供に対する説明には苦慮した。魚はカバー範囲なので何とか行けたが、「象さん、キリンさん・・・」と哺乳類の名前を上げる程度では小学中高学年の子供もわかっているので話にならない。せめてフランス語で何と発音するか、本来何を意味するかを説明できるようにしたいものだ。

帰る時間になって、通りがかりの学生に地下鉄の駅を聞くと徒歩15分ほどとのこと。来た道をサン・メタール教会まで戻れば地下鉄の駅はあるが上り坂であったことや、タクシー乗場も無く交通量も少な目だったので、門の真横(ラ・モスケ方向の門)にあるバス停から67系統のバスに乗ってシャトレ・レ・アール駅そばにあるホテルまで帰った。バス停には2系統程の表示があったが単純そうな路線図でありお勧めできる。

67系統バスの路線図


バスの料金は一律の前払い、通勤バスのクセで料金を払わず中まで入り連れを座らせた後、動き出してから払いに戻ったが特に違和感は無かった。運転手との会話では子供料金の設定は無いと理解されたが学生書などを見せればOKとかの詳細は不明のまま。

部屋に戻って「地球の歩き方」を(2005年の改訂14版)確認すると、地下鉄の駅で買ったカルネ(Carnet 10枚綴りの回数券、子供半額、老人料金不明だが大人分で買った)はバスでも使えるそうだ。

地球の歩き方 ガイドブック A07 パリ&近郊の町

地球の歩き方 ガイドブック A07 パリ&近郊の町